暴走族に愛された不登校女子。
「妹みたいなもんだからな」
「妹…」
その時、あたしの恋が終わった。
ずっと片思いだったから、やっぱり叶わないのだと思うと涙が出そうだった。
あの日閉じ込めていたはずの涙なのに。
それから蒼太を避けるようになった。
「妹」っていう距離が辛かった。
だけど蒼太は変わらず、守ってくれた。それは今でもずっと変わらない。
最近になって分かったことは、蒼太がいなきゃあたしは前を向けていなかった。
それは確かなことなのに。
「……あのさ。杏?」
「ん?」
カラオケに行った帰り、蒼太が不意に真剣な顔をしていた。
「妹なんかじゃないから」
「え―…?」
「あの時は嘘をついてごめんな。それじゃ、また遊ぼうな」
蒼太が走って行ってしまった。その言葉が何だったのか、ずっと分からない。