暴走族に愛された不登校女子。
*あの日をまだ思い出す*
* Story 6 *
その言葉はとても冷たく、重く感じた。
「復讐…」
「俺の愛する人は、1人の男に奪われた。
……心も体も、全部な―…」
「そんな…」
嘘だと言いたくなって彼をもう1度見つめた。
「…智さん」
何かを耐えるように、唇を噛み締めていた。
相当苦しい事が分かる。
「それは今では、もう遅いの…?」
「遅い。2人はもう、この学校にはいないから…」
いない、と聞いて言葉を失った。
「っていうかさ! こういう話はまた、今度ゆっくりでいい?
杏ちゃんがどうして直樹と同居してんのかも俺聞きたいしな」
智さんが笑って、あたしに言う。
「うん……、今度あたしも聞いてもらおうかな…」