暴走族に愛された不登校女子。
* Story 8 *
真っ黒な旗が地面に転がっていた。
そこには『アラシ』と書かれている。
目の前に見える廃墟は、とてもじゃないけど人がいそうな場所じゃない。
「何ここ…」
「ここはな、俺等のアジトみたいなもん」
「アジトですか…」
確かに言われてみれば、雑誌とか壊れかけた椅子とかがあるけど。
人が住めそうなところではない気がするのは気のせい?
「おぅ。嵐、元気か?」
(ひ、人が出てきたっ!)
ぼろぼろの廃墟の中から、人がこちらに歩み寄ってきている。
あたしは直樹の後ろから窺った。
「お~、何だよ。てめェら! 来るならテレパシー送れよ!」
「あんなー…テレパシーなんざできるわけねぇだろ?」
「ハハッ、そうだっけなァ? で? ソイツ誰?」
嵐…と呼ばれた人はあたしを見つめた。
髪が白色…で服装は破れた上下ジャージ…。
ウルフヘアーとはこういう感じなのかと、勝手に納得した。