暴走族に愛された不登校女子。
「あぁ。俺の女だよ」
直樹が答えると、彼はにぃっと口元を緩めていった。
「女ァ? お前が? おもしれーじゃんかよ」
「杏、コイツはな。嵐でいい」
「本名違うけどな」
智さんが付け加えるように言って、嵐という人はこっちを見た。
「まぁ嵐でいいぜ。このリスみてぇなヤツ、どこで拾った?」
(リス…?! ていうか、あたしは完璧にペットみたいに見られてるんだ…)
何だかおかしな人だけどとても優しそうな人だ。
「海辺。王子さまを求めてるやつだぜ」
「王子ィ?? ッハハハ、何だぁ。それは」
智さんまで笑ってる…!
嘘がないから何とも言えないのだけど…。
「ふぅーん…、でもよぉ。直樹、てめぇのことなら…」
「そうだ。ぜってェあげないからな」
「だよなぁー」
(直樹らしい…自信満々な答えだ…)