冷酷男子の溺愛
1st: 冷酷
・ 消えかけのきおく
『大人になったらむかえにいくから』
『……うん』
昔の記憶の片隅で
あどけない笑顔の少年は
じわり、と涙を浮かべていた。
────生きるうえで、記憶は次々と塗り替えられていく。
いらない記憶には蓋をして、必要な記憶だけは残しておく。
わたしは、その日の出来事を、そっと『いらない記憶』へと運んだ。
……消えた、記憶。
何か物足りない毎日に
転機が訪れるのは、もう少しだけ────先
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