冷酷男子の溺愛
……はいはい。
わたし次そこを右折しますからね。
「────」
って、なんで。
やっとこのノロノロ運転から解放されると思ったのに
まさかまさかの同じ道。
もう、どうしてよ。
早くナミとゆっちゃんと合流したいのに。
瀬戸内くんのせいで
行く手を阻まれて時間をロスしちゃってる。
あからさまに落胆しながらも、自転車をこぎ続けた。
ーー
すると、瀬戸内くんはある角を曲がって一軒のお店に入っていった。
太陽と書かれた大きな看板。
それからその横にあるラーメンや餃子と書かれたのぼり旗は
クリーム色仕立ての洋風飾りの家とうまく噛み合っていなくて少し違和感を感じた。
でも車はそれなりにとめられていて
そこそこ繁盛している。
────ああ、わたしの家だ、そこ。