冷酷男子の溺愛



瀬戸内來。侮れない。



「早くしろよ、ったく」


いつまでもモタモタと支度をしていると、彼は目を細めながら呆れたように言った。



でも、ほんのり口角が上がっているから、決していやがっているわけではないのだと思う。



「待ってー」

「しっ、うっさい、てめえは馬鹿か」



言葉遣いは悪いけど、「しっ」と言った時にちゃんと人差し指を顔の前でたてる仕草に少しだけキュンときてしまった。



ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。

落ち着け、落ち着け、落ち着け。


今はのんきに浮かれてる場合じゃない。






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