冷酷男子の溺愛



「ふぅ、危なかった」

「お前が騒ぐから」



なんとか準備を終えて、誰に気づかれることなく裏口から脱出することができた。



「……どこ行くの」

「ついてきな」


高校生になってから、学校をサボることなんか初めてで

今の気分は遠足を次の日に控えなかなか寝付けない子供のようだった。



行き先のわからないまま彼の一歩後ろを歩く。


ふと目についた彼の寝癖つきの黒髪が、朝日を浴びてキラキラしてて



「……綺麗」


思わず声に出てしまった。


でも決して髪だけではない。

Tシャツにデニムパンツという特別おしゃれなわけでもない普通のコーデなのに

この人だと、上手く着こなしているように感じる。






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