冷酷男子の溺愛
ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな。
行き先も告げないで、勝手にどこに行っていたの?
連絡すると言っておいて、どうして一度も連絡くれないの?
元気だった?寂しくなかった?
わたしは寂しかったよ。
拓ちゃんがいなくて寂しかったよ。
夢に出てくるくらい、会いたかったし、声も聞きたかった。
拓ちゃんがいなかった間にたまった想いはそれはもう果てしないくらいの量になっている。
……でも、ふざけんな、という煮え切らない想いも
今までどうしていたかという心配も、声にはならなくて。
「────おかえりっ」
その想いが全部全部水になって頬をつたった。
「……知奈」
拓ちゃんの瞳にも、ぼんやり涙がにじんでいた。