冷酷男子の溺愛
ーー
「───」
机の上に乱雑にお金を置いて、店を出た。
拓ちゃんの怒っている表情が頭にこびりついていて離れない。
「……ああ、もう」
イラだって、思い切り頭をかいた。
上手くいかない。本当に上手くいかない。
伝えたいこと、たくさんあったのに。
何ひとつ、話せなかった。
『───今すぐ帰れ』
拓ちゃんのあんな顔、見たことなかったよ。
あんな声も、聞いたことない。
ねぇ、拓ちゃん。
わたし、何ひとつ疑ってなかったんだ。
拓ちゃんはずっと優しいって、信じてた。
だから……まさか、拒絶されるとは思ってもいなかった。