冷酷男子の溺愛



瀬戸内くんも、他の店員さんも、お客さんまでもが驚いてる。


そうだよね、こんな店先で泣くなんて迷惑にもほどがある。



「……っ」



だけどとめどなく溢れる涙を止める方法が見つからなくて、ただ力任せに目元を強くこすった。



「やめろ、目が腫れるだけだから」

「……」



でも、その手は瀬戸内くんに遮られて。



「ったく、手のかかる奴らだな、お前ら兄妹は」



そのまま腕を掴まれて、さっきの場所に連行された。



「───え、いやいやいやまって」

「うるさい、黙って」



黙って、じゃなくて。わたしはもう拓ちゃんと話す気はないの。

拒絶されるってわかってて話しかけれるほどまだ人間出来てないの。

ねぇ、わかって、お願いします。



───そんなわたしの心の叫びが届くはずもなく、静かに連行されるしか方法はなかった。





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