冷酷男子の溺愛
「本当に、素直じゃないんだな、この兄妹は」
瀬戸内くんがひょっこりと顔を出すまでは。
キミは妖しげな笑みを浮かべると、一気に口を開いた。
「親への反抗心で家を出た兄。
そのくせ、いつ実家の店の経営が傾いても対応出来るように経営学を学んでラーメン店でバイトをしている。
寝言で妹の名前を呼ぶくらいホームシックなくせに、家族に連絡もいれない天邪鬼」
「……」
「一方、妹。自分の部屋はホコリまみれのくせに、『拓ちゃんがいつ帰ってきてもいいように』と兄の部屋は馬鹿みたい泣きながら掃除する。
そのくせ本人を前に寂しかったの一言も、一緒に帰ろうとも言えない。
なぜなら、自分の存在が迷惑なのではといらない心配をしているから」
「來」
「……瀬、戸内くん?一体……」
「───どうやら、あんたら兄妹とは縁があったみたいで、さ」
「素直じゃなくて、相手のことを考え過ぎている超面倒くさい兄妹愛が嫌でも目に入ってイライラが止まらなくてね」
─────ごめん、一つだけ、お節介
『家族は一緒に住む方がいいに決まってる』
思いがけない言葉に、視界が霞んで見えて