冷酷男子の溺愛



「とりあえず今週の土日には一回帰って父さんと母さんに謝るよ」

「……うん」

「許してくれるか、わからないけど……」



何言ってんの、許してくれるに決まってるじゃない。



「ふふふ」


思わず笑いがこぼれた。


今日拓ちゃんに会えてよかった。

また一緒に暮らせるようになってよかった。



「本当、瀬戸内くんのおかげだ」

「そういうのいいから拓真くんと別れを惜しんで来なよ」




瀬戸内くんがいてくれて

本当に、よかった。







「───電車来たから、乗るよ」

そして、別れ。




ーーもう、何も怖くない。



「拓ちゃん、また土曜日ね〜!!」



大きく大きく手を振った。

わたしの場所がわかるように、

彼の場所を見失わないように。




……嗚呼、また会う約束ができるなんて、どんなに幸せなのだろう。



電車に揺られながらも、そんなことばかり考えていた。





< 132 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop