冷酷男子の溺愛
「とりあえず今週の土日には一回帰って父さんと母さんに謝るよ」
「……うん」
「許してくれるか、わからないけど……」
何言ってんの、許してくれるに決まってるじゃない。
「ふふふ」
思わず笑いがこぼれた。
今日拓ちゃんに会えてよかった。
また一緒に暮らせるようになってよかった。
「本当、瀬戸内くんのおかげだ」
「そういうのいいから拓真くんと別れを惜しんで来なよ」
瀬戸内くんがいてくれて
本当に、よかった。
「───電車来たから、乗るよ」
そして、別れ。
ーーもう、何も怖くない。
「拓ちゃん、また土曜日ね〜!!」
大きく大きく手を振った。
わたしの場所がわかるように、
彼の場所を見失わないように。
……嗚呼、また会う約束ができるなんて、どんなに幸せなのだろう。
電車に揺られながらも、そんなことばかり考えていた。