冷酷男子の溺愛
おおお、お母さん。
「まったく、知奈ったら大声出して。
來くんに迷惑かかるでしょう」
……な、なんでその人は我が家にいるの?
「二年間お世話になります」
「こちらこそよ、來くん」
「……は」
わたしなんか無視して、どんどんことは進んでいく。
でも……お母さんと瀬戸内くんが
握手をし、さらには熱く抱擁までしてる現状を
そうすんなりと
受け入れられるワケガナイ。
「何コレ。……とりあえず、事情を説明して」
とにかく頭がついていかない。
「だから、祐美(來の母)が二年間カナダに出張が決まったから
來くんがここに越してきた、それだけよ」
……それだけよ、じゃないよ。
結構大掛かりなことだよ!
「もっと前もって言ってくれれば、よかったのに」
「……そしたら知奈断るじゃない」
「当たり前だよ!
っていうかわたしには悠がいるし!
そんな知らない男の人と一緒に暮らすとかあり得ないから!!」
「ま、平気よ」
……な、わけあるかー
あまりにも楽観的なお母さんに、思わずため息をついた。