冷酷男子の溺愛
お母さんは普段はしっかりとしていて
とにかく気遣いが出来て
まあ、お父さんを尻には敷くけど
わたしの自慢のお母さん。
でも時々とてつもない行動力を発揮する。
もうこうなったらおしまい。お手上げ。
黙って従うしかわたしの生きる道はない。
「……はぁ」
ため息が止まらない。幸せが逃げた。ああ。
でもいいんだ別に、幸せなんかいらんわい、と少し自暴自棄にもなってみたけど
今はふざけている場合ではないと、自分を奮い立たせる。
目の前には、とてつもなく大きな問題が残っていた。
それはわたしの彼氏である
久城 悠(くじょう ゆう)のこと。
彼とは高校入って
すぐに告白されて付き合うことになった。
カッコよくて、優しくて
リーダーシップのある一見完璧な彼は
実は物凄く嫉妬しいな人。
はじめは嫉妬されるって
なんか愛されてるってことが実感できるし、そんな悠も可愛いな、って思ってた。
好きだな、って思った。
でも、だんだんと彼の嫉妬はエスカレートしていって
最近ではクラスの男子と話すだけで
「なんで話すの?」ってキレられるか
「俺といるときより楽しそうだったよ」
って自嘲気味に笑われるかのどちらか。
それでなくても
最近上手くいってないのに
男と一緒に暮らしてるなんて
知られたら……やばい、怖すぎて考えたくもない。