冷酷男子の溺愛
わたしには、5つ離れたお兄ちゃんがいる。
名前は拓真。
今はもう一緒に住んでないし
どこにいるかも、どうしているかもわからないけど……
わたしにとっては大切な家族。
拓ちゃんはいつも優しくてしっかりしてたけど
どこか自分を追いつめてしまうところがあったから
妹ながらに、少し不安だった。
……拓ちゃん。この部屋は、この家は
拓ちゃんの居場所だからね。
いつでも帰ってきていいんだからね。
一人でこの家を去っていった拓ちゃんのことを考えると……何だか少し虚しくなる。
何を想って出ていったのか、いつも考えるけど、考えるたびに
家族のくせに、兄妹のくせに
拓ちゃんのこと何もわかってないことを思い知らされて、涙が溢れ出る。
……きっとお母さんも一緒。
今、笑っているお父さんもおじいちゃんも一緒。
拓ちゃんがいなくなった日から、わたしたちはうまく笑えてないね。