冷酷男子の溺愛
わたしの気持ちは、前を向いていた。
支えてくれる仲間がいたから、前を向き続けることができた。
やっぱり諦めたくない、って、自分の気持ちにも素直になることができた。
ーーでも、現実は、上手くいかなくて。
瀬戸内くんと、話さなくなって、どのくらいの時間が経ったのだろう。
目を合わせなくなって、まるで出会った時のように素っ気ない態度になってしまってから、どのくらいの時間が経過したのだろう。
まずは、「おはよう」っていう挨拶から始めよう、とか
相手が答えざるを得ないような、質問をして会話を続けよう、とか。
そんなことを考えていること自体、わたしたちの距離が広がってしまったことを意味していて、虚しくなる。
まるで────これまで過ごした時間が、消えてしまったようで。
とてつもなく、寂しい。