冷酷男子の溺愛
学校での素っ気なさは、まだ良い方だ。
わたしが最も嫌なのは、お店を手伝っているときだった。
お客さまの手前、あからさまに避けるわけにもいかないし、非常に気まずい。
だけど、そのとても気まずそうにしている瀬戸内くんの顔をみるのが、何よりも嫌だった。
だって、その顔は、わたしが告白をしなければ、しなくて済んだはずだから。
苦笑いなんて、させずに済む方法が、あったわけだから。
ーーその顔を見たときだけ、わたしの気持ちは後ろ向きになる。
がんばりたいと思う反面で、やっぱり迷惑なんじゃないか、って思ってしまう。
「2番卓、味噌ラー3に、餃子3です」
「はい」
注文を受ける時でさえも、目線は交わることがない。
彼もわたしも、淡々と、料理を作って運んでを繰り返す感情のないロボットみたい。