冷酷男子の溺愛



学校での素っ気なさは、まだ良い方だ。

わたしが最も嫌なのは、お店を手伝っているときだった。



お客さまの手前、あからさまに避けるわけにもいかないし、非常に気まずい。


だけど、そのとても気まずそうにしている瀬戸内くんの顔をみるのが、何よりも嫌だった。



だって、その顔は、わたしが告白をしなければ、しなくて済んだはずだから。


苦笑いなんて、させずに済む方法が、あったわけだから。



ーーその顔を見たときだけ、わたしの気持ちは後ろ向きになる。



がんばりたいと思う反面で、やっぱり迷惑なんじゃないか、って思ってしまう。





「2番卓、味噌ラー3に、餃子3です」

「はい」



注文を受ける時でさえも、目線は交わることがない。



彼もわたしも、淡々と、料理を作って運んでを繰り返す感情のないロボットみたい。




< 177 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop