冷酷男子の溺愛
結局、瀬戸内くんの荷物は客間へと運んだ。
今は畳と布団と電気くらいしかない部屋だけど……まあこれで十分だろう。
っていうか
お母さんも客間があるんだから始めからそこに荷物置きなよ
って話だけど
もしかしたらお母さんは
瀬戸内くんと拓ちゃんを重ねたのかもしれない。
我が子が帰ってきたと錯覚して、
思わずあのドアを開けちゃったんだね。
「……ありがとうございます」
「いいのよ、來くん。
それよりも初日だっていうのに、
ごめんなさいね、情けないところ見せちゃって」
「……いえ」
瀬戸内くんはそういうと、
サッサと荷ほどきを始めた。
……ふぅ、やれやれ。
これでやっとひと段落。
────じゃないよ、アホか。
全然ひと段落なんかついてない。