冷酷男子の溺愛


結局、瀬戸内くんの荷物は客間へと運んだ。


今は畳と布団と電気くらいしかない部屋だけど……まあこれで十分だろう。


っていうか

お母さんも客間があるんだから始めからそこに荷物置きなよ


って話だけど

もしかしたらお母さんは

瀬戸内くんと拓ちゃんを重ねたのかもしれない。


我が子が帰ってきたと錯覚して、

思わずあのドアを開けちゃったんだね。



「……ありがとうございます」


「いいのよ、來くん。

それよりも初日だっていうのに、

ごめんなさいね、情けないところ見せちゃって」


「……いえ」


瀬戸内くんはそういうと、

サッサと荷ほどきを始めた。





……ふぅ、やれやれ。

これでやっとひと段落。








────じゃないよ、アホか。

全然ひと段落なんかついてない。




< 18 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop