冷酷男子の溺愛





なになに、年上だけには収まりきらない?

へへへ、そりゃ、失礼しました。

そうだよね、キミのスペックじゃあもうこの世のみながトリコだよ。あはは。




「 知奈 」



なになに、わたしにも、惚れろってか。

うーん、そうだな、仕方がないな、考えとくよ。


わたしは惚れにくい体質だから、難しいと思うけど、まあ頑張りたまえ。



「 知奈 」



……雅稀は優しいし、傷つくような言葉を言わないし、絶対上手くいきそうだよね。


……だから。わたしを惚れさせてくれればいいのに。


もう、彼のことなんか思い出せないくらい、わたしのなかを雅稀でいっぱいにしてよ。



────そうすれば、今もこんなに苦しまずに済むのに。





「……」



ふと、前を見ると。名前を呼ばれていたことに気づく。


ふと、前を見ると。雅稀が苦しそうな顔をしてるのが、わかる。





「どしたの、雅稀」

「……」

「ねえ、ねえってば」



彼の目は、鋭く光る。


「……知奈は昔から、一人で抱え込むよね」




わたしの心を見透かすように、鋭く。







< 185 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop