冷酷男子の溺愛
なになに、年上だけには収まりきらない?
へへへ、そりゃ、失礼しました。
そうだよね、キミのスペックじゃあもうこの世のみながトリコだよ。あはは。
「 知奈 」
なになに、わたしにも、惚れろってか。
うーん、そうだな、仕方がないな、考えとくよ。
わたしは惚れにくい体質だから、難しいと思うけど、まあ頑張りたまえ。
「 知奈 」
……雅稀は優しいし、傷つくような言葉を言わないし、絶対上手くいきそうだよね。
……だから。わたしを惚れさせてくれればいいのに。
もう、彼のことなんか思い出せないくらい、わたしのなかを雅稀でいっぱいにしてよ。
────そうすれば、今もこんなに苦しまずに済むのに。
「……」
ふと、前を見ると。名前を呼ばれていたことに気づく。
ふと、前を見ると。雅稀が苦しそうな顔をしてるのが、わかる。
「どしたの、雅稀」
「……」
「ねえ、ねえってば」
彼の目は、鋭く光る。
「……知奈は昔から、一人で抱え込むよね」
わたしの心を見透かすように、鋭く。