冷酷男子の溺愛
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見渡す限りに広がる青空は、今日もとても晴れ晴れとしていて、日差しが目にしみる。
「知奈、おはよ。昨日のドラマ見た?」
学校に行けば、当たり前のように友達がわたしの席に座って、机に伏せている。
「あー見た見た。けどちょっと後半夢みすぎっていうか、所詮ドラマだなーって感じでつまらなくない?
何よりあのヒロイン、顔は可愛いけど、演技大根すぎたね」
「出た、知奈の現実主義」
わたしは鞄を机に雑に置いて、今日も静かに毒を吐いた。
水瀬 知奈(17)
初めから出来上がっているドラマの恋を、純な気持ちで見ることが厳しくなってきた高校2年、夏。
何年も続く恋なんて──存在しない、と切に思っている。
「っていうかね、わたしから言わせてもらえば、無償の愛なんて存在しないんだよ。
永遠の恋なんて、幻に過ぎないんだよ」
「……」
わたしが本音を口にすると、友人のナミはわりと本気で引いたようで、顔を引きつらせていたけれどそんなこと知ったこっちゃない。
「夢なんか見るな、現実を見ろ」
「うるさい」
『 永 遠 』
わたしの脳内の片隅にちょこんといる言葉。
だけどわたしにとっては胡散臭い言葉。
ーー永遠なんて、信じたら、馬鹿をみる