冷酷男子の溺愛




***



見渡す限りに広がる青空は、今日もとても晴れ晴れとしていて、日差しが目にしみる。




「知奈、おはよ。昨日のドラマ見た?」



学校に行けば、当たり前のように友達がわたしの席に座って、机に伏せている。




「あー見た見た。けどちょっと後半夢みすぎっていうか、所詮ドラマだなーって感じでつまらなくない?

何よりあのヒロイン、顔は可愛いけど、演技大根すぎたね」


「出た、知奈の現実主義」



わたしは鞄を机に雑に置いて、今日も静かに毒を吐いた。



水瀬 知奈(17)


初めから出来上がっているドラマの恋を、純な気持ちで見ることが厳しくなってきた高校2年、夏。


何年も続く恋なんて──存在しない、と切に思っている。




「っていうかね、わたしから言わせてもらえば、無償の愛なんて存在しないんだよ。

永遠の恋なんて、幻に過ぎないんだよ」


「……」


わたしが本音を口にすると、友人のナミはわりと本気で引いたようで、顔を引きつらせていたけれどそんなこと知ったこっちゃない。



「夢なんか見るな、現実を見ろ」

「うるさい」






『 永 遠 』


わたしの脳内の片隅にちょこんといる言葉。

だけどわたしにとっては胡散臭い言葉。




ーー永遠なんて、信じたら、馬鹿をみる












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