冷酷男子の溺愛
こわい、二人とも。目が笑ってない。
「……わ、わかったよ。話すよ。
ええっとね……犬がね、来たの。
名前はせっちゃん」
「は」
「仮にもせっちゃんはオスだし、
こんなの悠に知られたら……
どうしようと思って、いろいろ考えてた」
……ごめん、瀬戸内くん。
キミの存在を知らしめるのには、
犬とするのが……精一杯。
すまん、勘弁してくれ。
「……ふーん」
「だからごめんね、昨日行けなくて」
なるほどね、とナミ。
だけど、ゆっちゃんはまだ納得していない様子。
「で、せっちゃんとやらはこのクラスにいると」
「……そう、だからバレだら大変」
……ん?このクラス?
せっちゃんは犬。
昨日家に来たと仮定されている犬。
当然……このクラスにいるわけが……ない。
いるとすれば、せっちゃん……ではなく別名、瀬戸内來。
「やっぱな、知奈、朝から瀬戸内の顔チラチラ伺ってるし、
悠と廊下で会っても目線合わせないし、そんなことだと思ってたよ」
と、ゆっちゃん。
ま、ま、まさか……
「───見え見えの嘘つくな」
やっぱりぃいいい
ゆっちゃんには、敵わない。