冷酷男子の溺愛
焦る、彼。
もうどうしたらいいのかわからないらしく、さっきから家の中をウロウロしている。
「あ、知奈、アイスあるよー、食べに行こっか」
ガキじゃあるまい。
そんなものにつられてたまるか。
「……」
それでもって、貴様が渡そうとしているアイスはわたしのだ、しまっておけ。
「そそそれじゃあピ、ピ、ピアノでも弾こうか」
本人はきっと真面目に慰めようとしてるとは思うんだけど、なんか慰め方がズレている。
キミのなかでのわたしは一体何歳だ。
「知奈、ごめんね?ごめんね?」
……もう、うるさいよ。
本当に、昔から。
わたしのことになると、心配症で、ちょっとだけ過保護で。