冷酷男子の溺愛




「雅稀はこれから先もずっと、わたしの大切な人だよ」



それだけは────絶対に変わらない。

大切すぎて、傷つけたくなくて、雅稀を好きになれたらどんなに幸せだろう、と。




雅稀を好きになりたいと。

何度も思ってたよ。





やっぱり涙は、止まり方を知らない。






「ははっ、知奈、泣きすぎ」


何よ、雅稀だって、泣いてるくせに。



「目腫れててやばいよ」

それこそ、雅稀だよ。あなたもやばいよ、鏡ちゃんと見なよ。





「……あー」


彼が急に声をあげた。

目頭を押さえて、呼吸を整えて。





「────でもやっぱり、俺が知奈を幸せにしたかった」






胸が、苦しくなる。





< 219 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop