冷酷男子の溺愛
「雅稀はこれから先もずっと、わたしの大切な人だよ」
それだけは────絶対に変わらない。
大切すぎて、傷つけたくなくて、雅稀を好きになれたらどんなに幸せだろう、と。
雅稀を好きになりたいと。
何度も思ってたよ。
やっぱり涙は、止まり方を知らない。
「ははっ、知奈、泣きすぎ」
何よ、雅稀だって、泣いてるくせに。
「目腫れててやばいよ」
それこそ、雅稀だよ。あなたもやばいよ、鏡ちゃんと見なよ。
「……あー」
彼が急に声をあげた。
目頭を押さえて、呼吸を整えて。
「────でもやっぱり、俺が知奈を幸せにしたかった」
胸が、苦しくなる。