冷酷男子の溺愛
「────知奈、あのな」
拓ちゃんは、少しだけ深刻そうな顔をしながら、重たい口を開いた。
「……」
拓ちゃんから突きつけられた現実は、わたしが捉えていたものとは大きく違って。
「────何それっ、やめてよ、そんなわけないっ」
「あの人にとって、わたしはもうどうでもいい人なんだよ」
わたし大きな勘違いをしていたのだと悟る。
「……」
この家で一緒に暮らしていることだけが、彼との繋がりだと思ってた。
だから彼が出てってからは、もう学校でも話せなくなったし、クラス替えがあってから顔も見なくなって、関わりがなくなってしまった。
この間少しだけ関わることがあったけど、彼はもう自分の道を歩いていて、大切な人も出来ていて、わたしたちはもう一生交わることはないと思ってた。
だから。
【來】知奈を傷つけた
【來】もう、一生大切にしたいと思ったけど、こんな俺じゃダメだから
【來】拓真くん、俺、約束破っちゃうかも、ごめんね
だから。