冷酷男子の溺愛



「で、どうなの、あいつは」


と、瀬戸内くんをみる、ゆっちゃん。


……うーん。

どうって言われても……

昨日は、あれから歓迎会も兼ねて

みんなで夕飯を食べたぐらいで

特に話もしてないし……


「あ、春巻きが気に入ってたよ、彼」

「そういうのじゃなくて性格」


「……性格?わっかんないなー」

「マジかよ」


……ま、まだ初日ですよ、柚さん!!!

そんなん、わかる方が怖いわー。



「あ」

わたしはガクブルしながらも、非常に興味深いものを見つけた。

「何」

「見てよ、ゆっちゃん、ナミ。今クラスの女子が話しかけようとしてる」



基本、休み時間は顔を伏せ寝ていて

授業中は顔を上げてるけどウトウトしてて


引っ越してきたての彼は、

まだクラスの誰とも話してない様子だった。


……そんな時に動き出したクラスの女子たち。非常に興味深い。


つけまバッサバッサのケバメイクの効果を見せてもらおう。



「ねぇ、瀬戸内くん」

「……」


けばメイク3人組が彼の机を囲み始めた。


そしてそのうちの一人が

ウトウトする彼の顔を覗き込むかのように話しかける。


で、残りのふたりが彼の肩に軽くボディータッチ。


やはり、流石だ、隙がない。


「ねえってば、今日暇?」

「……」



多分そのケバい人たちは瀬戸内くんに話しかけているのだけど、彼はまるっきり無視。

たぶん彼女たちを空気として扱っているのだろう。


……なんて、男!!

こ、これじゃあ、彼女の上目遣いが水の泡じゃないかっ!!




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