冷酷男子の溺愛
「──── あ、」
冷静になってみると、わたしたちのいる場所は、どこか見慣れた風景。
「……」
それは以前、わたしと彼と、拓ちゃんの3人で遊びに来た公園だった。
「……よかった、知ってるところで」
「当たり前だろ」
「何よ、現在地確認してたくせに」
「うっさい」
ホッと、一息。よかった、これで生きて帰れる。
けど、なんだろう。
突如として湧き上がってくるのは、懐かしさ。胸いっぱいに広がる。
きっとこの気持ちは瀬戸内くんと普通に話せていることに対してだけではないと思う。
もっと昔の、忘れられた記憶の……
3秒前────
「本当、懐かしいよな、この公園」
きっと、目を閉じて広がる昔の風景は、瀬戸内くんと同じもの。
切なそうな、でもちょっぴり微笑ましいような、なんとも言えない気持ちの正体。