冷酷男子の溺愛
あまりにも酷い受け答えに、みんな目を見開き、その場から動けない。
「……」
話しかけたケバ子’sなんか、もう涙目で、見てるだけで可哀想になる。
だけど、そんなのお構いなしに瀬戸内くんは
「……だる」
そうたった一言言い放つと、カバンを片手に、教室をあとにした。
「・・・」
……ま、じ、か。
なに、ついていけない。
ーー
本音を言えば、ほんの少しだけ浮ついた気持ちがあった。
こんなイケメンがやって来て
しかも一緒に住むなんて、と
驚きつつも内心ドキドキしていた。
も、もちろんわたしには悠がいるし
恋愛感情を持つとかそんなのはあり得ないけど
もしかしたら、誰よりも仲良くなれるじゃないかって思ったけど……
────あれはないわ、無理。
いくらイケメンでも無理。容姿でカバーできる問題じゃない。
だって、人の話を無視した挙句
『そんなに暇なら鏡でも見てろ汚れてるから』
……だよ?非常識にもほどがある。
わたしは常識があって、律儀な人がタイプなの。
あんな人と仲良くするなんてとんでもないし
浮ついてた自分がバカみたいだ。