冷酷男子の溺愛
─────終わりは突然、やってきた。
学校から帰宅すると、当たり前のように家に入り浸っていた彼女から、思いがけない言葉が放たれる。
「……あ、そうそう、それで彼氏がね」
彼女のささやきは、
俺の呼吸を、止める。
……え?
彼氏……?
その単語の意味が認識できなくて一瞬停止。
待て待て、落ち着け。落ち着け。きっと何かの間違いだ、そうに決まっている。
あまりの混乱に、頭がついていかない。
「……彼氏いんの?」
「うん」
………………は?
なんで。嘘だろ。……だって。
たくさん遊んでたじゃん。
毎日一緒にいたじゃん。
思いもしなかった事実に、驚いて動揺を隠せない。
「……」
頭がぼーっとする。
……なんだ。距離が縮んだと思っていたのは、俺だけで。
舞い上がっていたのも、俺だけだったのか。笑える。