冷酷男子の溺愛
「……はは」
自然と溢れる、微笑み。
彼女といると、ホッとする。
何でだかわからないけど、すごく、すごくホッとするんだ。
少しだけ、昔のことを思い出してみると、今こうして触れていることが、不思議っていうか、有り得ないんだけど。
知奈だけは、平気なんだよな。
なんでだろう。
「……」
だけど、きっと、その答えは、俺自身もうわかっている。
わかってるんだ。
なんてことを考えていたら、何だか目の前にいる小動物みたいな子が、少しだけ愛しく見えてしまった。
どうしようか。
とりあえず、風邪でもひいたら困るから、早く家に帰ろう。
そして今日は頑張ってくれたお礼に、大好物のココアでも入れてやろう。
俺はもう一度だけ、彼女の頭を軽く撫でてから、背中に背負った。
外が寒くならないうちに、家に向かうことにしよう。