冷酷男子の溺愛
「……俺の守りたい人は、もうお前じゃないんだ」
ーーだから頼むから、もう、俺に関わらないでくれよ。
俺の本音を聞いて、彼女は、泣きそうな表情から一転。
ほんの一瞬で、怒りをあらわにした。
「───」
……豹変。本当に秒で変わる、表情。
その姿を目の当たりにして、やっと俺は昔、騙されていた事実を飲み込んだ。
「……何、あたしより、その子が大事ってこと?」
こいつは……あの頃と、何も変わってない。
自分が一番じゃなきゃ許せなくて、プライドと独占欲だけは人一倍だ。
「───ああ、大事だよ、すごく」
背中で気持ちよさそうに眠る知奈は、今や俺にとってはとても大切な存在になったんだ。