冷酷男子の溺愛




「……もう、変わったわね、來」

「おかげさまで」



嫌でも変わらざるを得なかったんだよ、と嫌味をいうと彼女はごめんごめん、と言って笑った。

何だろう、なんでこんな平和なんだろう。恐ろしいくらい謎だ。


今までだったらすぐにキレてた。なのに、なんで。

今、こんなにも胸中穏やかでいられるのだろう。




「……早く家に帰ってその子寝かしてあげなよ」

「……そうする」




ーーーああ、そうか。

やっぱり、背中に、守るべき人がいるから。





「ていうか、なんでそんなぐっすり眠ってられるのよ、その子は。

普通は起きて修羅場でしょ?まったく」



「……そういう子なんだよ」





ーー大切にしたい人が、いるから。






こんなにも、変われるんだ。







< 262 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop