冷酷男子の溺愛
「……もう、変わったわね、來」
「おかげさまで」
嫌でも変わらざるを得なかったんだよ、と嫌味をいうと彼女はごめんごめん、と言って笑った。
何だろう、なんでこんな平和なんだろう。恐ろしいくらい謎だ。
今までだったらすぐにキレてた。なのに、なんで。
今、こんなにも胸中穏やかでいられるのだろう。
「……早く家に帰ってその子寝かしてあげなよ」
「……そうする」
ーーーああ、そうか。
やっぱり、背中に、守るべき人がいるから。
「ていうか、なんでそんなぐっすり眠ってられるのよ、その子は。
普通は起きて修羅場でしょ?まったく」
「……そういう子なんだよ」
ーー大切にしたい人が、いるから。
こんなにも、変われるんだ。