冷酷男子の溺愛
5th: 溺愛
・ 不意に溢れ出る笑顔
*
「……知奈、いい加減、起きれば」
やけによく眠れたと思ったんだ。
普段だったら、夜中に2回くらいはトイレで起きるのに、なんかすごく寝れたと思ったんだ。
もうね、夢なんか見る暇もなくて、本当ぐっすりで。
……なんで、こんなにもぐっすり眠れたんだろう、そう思ったけど
目をこすりながら顔を上げると、その理由がはっきりとわかった。
「……本当、寝すぎ」
「……え、せ、瀬戸内くん?」
……ああ、そうか。瀬戸内くんがいたから。
安心して眠れたんだね。
って、え?ちょっと、待って。
思考停止。
だって今、わたし寝てたよね。
寝顔見たの?嘘でしょ?
「……」
久しぶりに見れた彼の笑顔と
寝顔を見られたのかもしれない恥ずかしさで……ドキっと、心臓が音をたてた。