冷酷男子の溺愛
ふと、我にかえると、見慣れない、部屋。
白をベースとしたシンプルな部屋は、ベッドとテーブルとテレビくらいしかない閑散とした部屋。
え、どこ?
怖いくらい生活感がない部屋に、わたしは驚きを隠せなかった。
「……俺の部屋だよ、ここは」
テーブルの前で、あぐらをかきながら、彼は優しくふわっと笑った。
「……あれ?」
不意に、違和感。
……なんだか君の笑顔が変わった気がして。
いつも含まれているはずの哀しみがすっかり晴れていて、心の底から笑えているようだったから。
……ふふっ。なんだろう。
つられてわたしまで笑顔になれる。
「……なになに?なんかいいことあった?嬉しそうだよ」
「……別に、そんなことねえよ」
否定はするものの、やっぱりどこか、嬉しそうな気がする。
だって、ほら。
ココアを持つ手が、ソワソワしてる。
「……うるさい」
わたしがあまりにもニヤニヤしていたからか、軽く頭を叩かれた。
え、なにその反応。
なんか、耳まで真っ赤で、すごく照れて、とてつもなく可愛い。