冷酷男子の溺愛





だけど、だけど、いくら大人ぶったって、好きな人から他の女の人の話を聞くのは、少しは嫌なわけで。



「───うん、いいことあったんだ、美菜と」



ましてや、すっごく楽しかった、とでも言いたげな満面の笑みを浮かべられたら


聞かなきゃ、よかった、って思うよ。



今すぐに耳を塞ぎたい。どこか穴にこもりたい。

誰か引きこもれる場所知りませんか。





「さっき、あいつ、会いに来てくれて」

「……」


「顔も見れて、たくさん話できて」

「……」





「それから───ってえ??なに泣いてんの」



なに、泣いてんのって。

知らないよ。


だって、こんなこと聞いちゃったら、勝手に涙が出てくるんだもん。




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