冷酷男子の溺愛
そんなことになっているとは知らず、わたしは中学校にあがるにつれて、好きな人も出来た。
まわりの女の子と同じように、恋が出来たんだと思うと、なんだか不思議な気持ちになったけど。
だけどそれは、わたしのことを好きだと言ってくれたから、好きになったにすぎなかった。
そもそも、ナミとゆっちゃん以外には心を閉ざしているわたしは学校ではほとんど話さなくて、暗いし笑わないし、好意を寄せられるなんてとんでもない話だった。
だから、告白されるなんてこと今まで一度もなかったし、たぶんこれからもないだろうと思っていたから、正直好きだと言われて嬉しかった。
嬉しくて、わたしを好きになってくれる、あの人を好きになった。
────まあ、所詮はその程度の愛が続くわけもなく、彼氏には浮気をされるようになって、高校入ってすぐに別れたんだけど。
今となって考えると、あの気持ちは恋愛感情とは違ったのではとさえ思えてしまう。