冷酷男子の溺愛





「……」


瀬戸内くん、君は。


浮気をされて泣いてばかりいるわたしに手を差し伸べてくれたよね。


元彼に手をあげられるわたしを、かばってくれて、わたしのために、綺麗な涙を流してくれたよね。





「……」


だけど、わたしは、気付けなかった。


その時、彼は、浮気された自分と重ねて、苦しんでいたこと。


昔、わたしが殴られたことを思い出して、二度も守れなかったと、自分を責めていたことに。




───行動の裏にある、君の気持ちに。

気づくことが、出来なかった。




ひとつ、記憶が解けていくと、次々と真新しい記憶とリンクして見えてくるもの。





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