冷酷男子の溺愛
それもそのはず。
『もう絶対しない』
何度誓ったところで懲りもしない、浮気癖のあるクソ彼氏との永遠なんて、想像もつかないんだもの。
「……はぁ」
わたしは何度目かもわからないため息をついた。
わたしには一応、彼氏がいる。
でもその彼氏は、平気で浮気をする。
優しいのに、平気でわたしを傷つけようとする。
いつ破局してもおかしくないくらいの、不安定な恋は、楽しいどころかたまに、虚しくなる。
別れた方がお互い良いんだってことも、頭では理解できてるのに、どうも上手くいかなくて。
「……はぁ」
「知奈どうしたの、ため息ばっかついて」
ため息が、止まらない。
「……浮気されたのはわたしのはずなのに、逆ギレしてきた。
お前はどうせ妬かないよな
俺のこと好きじゃないもんな
って朝から自虐ってどうよ」
本当、ダメ彼氏。
でもやっぱり好きで、離れたくなくて、結局また許してしまうわたしも、相当な馬鹿だ。
「ちょっとヤンデレ入ってるよね、悠くん、本当にたまに怖いもん」
嫉妬深いし、疑い深いし、自己中心的で、挙げ句の果てには浮気癖アリ。
とんだクズのはずなのに、どうにもこうにも、好きなのだから仕方がない。