冷酷男子の溺愛
・ 容赦ない鬼畜さん
ーー
「お父さん、お母さん、ただいま!」
「おかえり〜」
身なりの支度を整えて、お店のお手伝いに取り掛かる。
手伝うのは、毎日の日課(木曜日以外)になっていて
本来なら面倒くさいなって思うけど、今日は少しだけ違った。
「知奈〜、來くんにお冷とおしぼりの出し方教えてあげて」
彼はバイト初日とはいえ
おしぼりは冷蔵庫から取り出すだけだし、お冷は水をグラスに注ぐだけ。
教えるなんて……そんな大げさだな。
「……じゃあ瀬戸内くんこれお願いします」
「……はい」
とりあえず2番卓に必要なおしぼりとお冷をおぼんに乗せ
そのまま彼に手渡した。
「瀬戸内くん、ちょっと」
あの、あなたは愛想笑いっての知らないんですかね。
悪いんだけど、睨んでいるようにしか見えないの。
「もうちょっと笑ってくれないと」
「あ、無理」
即答なところに少しだけイラっとする。
別にいいですよ?イケメンはどんな表情をしてても許されますけど……
それなら、家に来なければよかったのに!