冷酷男子の溺愛
恋は盲目━━━━━とは、一体誰が言いはじめたのだろう。
この頃のわたしは、まだ何ひとつわかっていない愚か者で、随分と見る目がなかったのだ。
馬鹿で馬鹿で、馬鹿丸出しで、とてつもなくどうしようもなかった。
だけど、そのことに気がつくのは、もう少し後の話。
ーー
そんなことはさておき、友人と話しているとまだ授業開始時間にもなっていないのに、慌ただしくなる教室。
「━━━━今日からクラスの仲間がひとり増えるからな」
「え?は?」
突如として教室のドアが開いたと思いきや、猿のような担任が、モデルのような人間を連れてきた様子だった。
「瀬戸内、來です」
切れ長の二重まぶたに、通った鼻筋、薄いのに色気たっぷりの唇にそれから黒髪無造作ヘア(寝癖つき)
嫌味なくらい整っている容姿。
これは反則だ。