冷酷男子の溺愛
2nd: 接近
・ 掴み取った彼の弱み
ーー
そして、休みが明けた。
今日は悠と別れてはじめての学校。
「おはよー」
「おー、知奈おはーっす」
いつも遅く起きるゆっちゃんが、あの低血圧のゆっちゃんが今日は珍しく早めに学校に来ていた。
そしてすぐナミも来て、いつものように担任が来るまでの間、他愛ない話で盛り上がる。
だけどね、わたし、まだ二人に言ってないことがあるの。
「あのね」
「ん?どした」
ふたりにまだ話せていなかった事実。
それは
「わたし……悠と別れたんだ」
長年付き合っていた悠と別れを告げたこと。
また浮気を目撃して、もう限界なんだと言ったこと。
そうして別れた事情を話していくと
うんうんと二人は優しく相槌を打ってくれた。
「ーーでもさ」とゆっちゃん。
彼女はいきなり顔を歪ませた。
洞察力の優れた彼女のことだから
なんだか嫌な予感がする。
「別れたにしては、落ち込んでないね」
「……」
思いがけない言葉に、ギクりっていう効果音がつきそうなくらいドキッとした。
そこを見逃さないゆっちゃん。
つかさず眉をピクリと動かした。
「うーん、なんだか男の匂いがしますね」
「しますね」
誇らしげに、怪しく笑う二人。
どこかで悪徳商法でもしていそうな顔をしている。
「……いいことありましたね」
「ありましたね」
ここここ、怖い。