冷酷男子の溺愛
彼はまたも席に着くなり眠りに入った。
「あの、無表情な人がね、ふーん」
瀬戸内くんをガン見しながら、ゆっちゃんが呟いた。
「まだ、なんか匂うな」
ゆっちゃんの独り言を聞くものは誰ひとりとしていなかった。
ーー
2校時が終わり、休み時間になると
ふと何者かに、ペンで背中を突かれるという被害を受けた。
「……ひっ」
そのむず痒さに、思わず身体をよじらせる。
「ははは」
聞いたことのある声。
人の不幸を喜ぶ鬼畜野郎の笑い声。
「……弱っ、背中」
そこには、1、2校時の全てを睡眠に費やし絶好調の瀬戸内くんが
悪魔のような笑みを浮かべていた。
「……なに、やめてよ」
「そんな怖い顔すんなよ」
「要件は、何ですか」
「べつに」
ないなら、シャーペンで刺さなくてもいいでしょうが!!!
「ともだちいないのか、かわいそー」
「……」
「いっ、ひゃっ!ごめんなさーい」