冷酷男子の溺愛




その後の授業でチラチラと後ろを振り返ってみたものの


瀬戸内くんは基本寝ていて、誰かと話している様子もなくて。


……人を寄せ付けないオーラがギラギラしてて、とても謎めいた人だと思った。



話しかけたいような、でも話しかけなれないような、なんともいえない空気が漂い、居心地が悪すぎた。




ーー


そうして気がつけば放課後。


「知奈ー!ゆっちゃん!今日寄り道してこ!!」


小学校からの付き合いであるナミとゆっちゃんとは、決まって毎週木曜日にファーストフード店に寄る。


それはもう中学生のときからの習慣になっていて、もう機械的にスマホでクーポンを探し始めた。



「あ」

「どしたの、知奈」


クーポンを探す二人のはよそに、わたしの顔色はサーっと白くなっていく。



「……す、スマホ家……かも」

「あらら」



……最悪。ありえない。は、マジか、わたし馬鹿すぎだろっ。



今朝は遅刻寸前で、ドタバタしてたからうっかり玄関に置いてきちゃったのかも


って、マジかよ、わたし!!!


これまで何度も遅刻の危機を免れてきたではないか。



マジ命の次くらいに大切なスマホを置いてくるとか馬鹿すぎだろっ!!





「……わたし、一旦家行ってくる」

「おけー」


ほんの一瞬で、わたしのテンションはとんでもないところまで下がる。



……あー。

家に取りに帰るとかクソめんどいけど、スマホないとか本当終わってるし、仕方がない。



ふたりに席取りを頼み、チャリで5分の我が家へと急ぐことにした。







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