冷酷男子の溺愛
ーー
「お昼ごはん食べよー!」
「うん!!」
淡々と授業をこなしているうちに、もうすっかりお昼どき。
「うわ、またピーマン入ってるよ。
うちのお母さんさ、何度嫌いだから入れないでって言っても入れるんだけど」
「美味いじゃん、ピーマン」
微笑ましい、ナミとゆっちゃんの会話。
たかがピーマンの話題でも、何分でも語り合えるんだからすごい。
「はははっ」
悠やケバ子たちのことを考えたくなくて
塞ぎこんでいたわたしにとって
ナミとゆっちゃんの微笑ましい会話は、最高の癒し。
「──────」
でも、はるか遠くで聞こえた。
二人のいがみ合う声。
きっと……悠と、瀬戸内くん。
なんだかすごく嫌な予感がして。
気づけばわたしはこその音の聞こえる方へと走っていた。