冷酷男子の溺愛
「だから何だよ、謝れとでも言いてえの、土下座でもしろと?」
クズだった。
わたしの元最愛の人は、とんでもないクズだった。人間の底辺だ。
「───ははっ」
でも、瀬戸内くんは笑った。
目元は無表情のままにして。
「……何だよ、お前、気味が悪ぃな」
そんな瀬戸内くんの様子に、少しだけ怖気づく悠。
「─────」
彼はニコッと、笑顔を見せると、一気に無表情へと変わる。
そして瞬時に悠の首元を片手で押さえつけた。
「───お前消えてくれよ、頼むから」
まるで心の底から出すような、低くてかすれた声だった。
そしてそのまま手に力を込める。
そのまま青ざめていく悠。
「……わ、かったから、あやま、るからとりあえず離してくれ」
呼吸を遮られ、途切れ途切れの言葉。
「─────謝るな、絶対に」
でも、瀬戸内くんは容赦なく、悠の言葉をはねのけた。
冷たくて、鋭くて、体全体で怒りを表しているようだった。
悠は目をくらまして膝から崩れ落ちた。