お嬢様にはなりきれない!
「柚希ちゃん、お帰りなさい♪」

にっこり笑うママ。

「ただいま。」

私が帰ってくると、ママは必ず私の部屋に来る。


「今日は、帰りが遅かったんじゃない?何かあった…?」

心配そうに瞳を潤ませるママ。

「ううん、何も。」

私はにっこり笑って見せた。

………気持ちわる。

自分の作り笑いに吐き気がする。



今の私は私じゃない。

私は“橘グループの娘”じゃなきゃいけないんだ。

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