お嬢様にはなりきれない!
梓馬side


「なぁ……柚希ちゃんって、俺らと同じ匂いしねーか?」

柚希を送った後、夜広がそんなことを言い出した。


「やだー!柚希ちゃんは、夜広みたいに臭くないよ!!」

「ちげえよ!!!そういう意味じゃなくて……」


………こいつらガキか。

夜広と紅は、いつも喧嘩してる気がする。

まあ、仲が良い証拠なんだろうけど。


「………なんか隠してるってことだろ?」

俺がそう言うと、夜広が同意してきた。

「名字、とか?」

紅が悲しげに言う。


………やっぱり紅も気づいてたのか。


「あぁ。家の場所もバレたくねえみたいだ。」

柚希は毎回、家までは送らせてくれない。

「………単に、親にバレたくないだけなんじゃないっすか?」

さっきまで黙ってた雄大が、口を開いた。

「それなら良いんだけどな……。」

本当にそれなら良いんだけど。

アイツは何か闇を背負ってる気がして………。
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