お嬢様にはなりきれない!
「…………?」

走らなかった。

なぜか身体は宙に浮いている。

私が首を傾げるのとほぼ同時に、


バキッ

「ぐっ……。」 

男の苦しそうなうめき声と

「女に手上げるとかダサ過ぎんだろ……。」

なぜか懐かしさを感じる男の声が聞こえた。



え………?

私の足を引っ張った男が倒れた。


「大丈夫か?」

「へ?」

顔を上げると、すぐ後ろに男の顔。


「……!?!?!?!?」


思わず離れる。


「…………そんな逃げなくても。」

苦笑するその男。

「え、あ、ごめんなさい……。」
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