南国タイフーン
「一体、何があったの」

「くだらないことさ。

秋沢菜穂が、今になって、明日のロケ地の変更を言い出した。」


「分かるような気がする」


「何がだ」


「彼女の気持ちが」


氷室が首をすくめた。


「君は彼女の肩を持つのか」


「そうじゃなくって、ただ、彼女の気持ちが分かるの。

秋沢菜穂は、ただの綺麗なだけのアイドルじゃない。

頭も切れる。


歳は二十歳だけど、充分に大人よ」
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