お嬢様の恋
｢あんり！今日はパーティーですからね。竜哉君も参加するそうよ。｣
お母様はそう言って何もかも知っているというように微笑みながら言った。
お父様も

｢時頼（小早川財閥会長）の息子ならお父さんもお母さんも安心だよ。昨日は青龍組なんかが来たから焦ったがあんりにはちゃんと好きな人がいたんだな｣

などと言って笑顔になっている。そんな２人を呆れて見ていると突然声が聞こえてきた。

｢好きなやつができたってどういうことだ？あんり｣

｢貴也！いつ帰って来たんだ？｣
お父様が目を見開いてあんりの後ろを見た。つられてあんりも後ろを見ると、そこには…

｢お兄様！｣

そこにはあんりの兄の小瀬谷 貴也が立っていた。大学三年になる彼は次期小瀬谷グループ会長となるためアメリカで経営学を学んでいた。なのにどうして日本にいるのだろう？
パーティーに出る為なら夕方にでも来ればいいのに…

｢俺が帰って来たのはあんりに好きなやつが出来たって聞いたからだ！あんりが婚約するかもしれないと父さんは言うしな｣
（お父様もお兄様も大げさですわ…。私１人が思っているだけで婚約できるはずがないのに…）



｢それであんりの好きなやつはどこの誰なんだ？｣

怒ったように眉間にしわを寄せ口調も鋭く聞いてきた。

｢小早川財閥のご子息よ。貴也だって知っているはずでしょう。｣

お母様は心底嬉しそうに言った。
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